刺青少年【空】と獣人【奏】

下克上まであと数年。


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全身に、罪人である証拠の刺青をされた少年は、ぐっすりと寝ている。

何をしたかは分からないが、この少年は1年前人間の領土で怪我をしていた奏を助けてくれたのだ。

自分よりも大きく、獣人である奏を・・・・。

殺そうとしたら、逃げることなく自分を食えばいいと言った少年。

そのまま思わず連れて帰り、帰る場所などないという少年空をここにいればいいと、引きとめた。

はじめは、自分を食えと言った空への興味から一緒にいたが、発情期の際に、襲ってしまいった奏にやさしく口付けをした空がかけがえのない存在になっている。

愛おしいと思ってしまった。

あれから1年近く、空との生活は穏やかに続いている。

昼下がりのんびりと空が昼寝をしているのを眺めていると

獣人が心配そうに言う。

「馬鹿だな・・お前・・・罪人だろうがなんだろうがそいつは人間だ」

「俺達だって、空が罪人とかそんな事は気にしていない。」

「ただ、どうせ俺達より早く逝ってしまうのに・・・」と、寂しそうに呟く。

それでも、奏は空を手放す事は出来ず、罪人である空が人間の世界に帰ればどんなつらい目にあうかわからないという事を口実に一緒に暮らしている。

「愛おしいこの気持ちに嘘はつけない。」

奏は、腕の中にいる空を見つめながら呟く。

罪人の烙印をつけ、人間達が彼を必要としないものとしてくれたのを感謝しているぐらいだ。

奏は、自分のずるさを自覚している。

そして、少しの罪悪感も空のぬくもりで薄れてしまうほど、奏は空のぬくもりを手放せなくなっていた。

少し手に力が入ってしまったのか、空が身じろぐ。

「んっ?そ・・う?」

「ごめん、起こしてしまったかい?何でもないから、もう少し寝ておいで」

「ん」

空は、奏のやさしい微笑みと言葉を聴くと安心し、また眠りへと落ちていく。

皆、空のことは可愛がっているが、それ以上に仲間である奏を心配しているのだ。

それでも、奏の空に向けるやさしい微笑みを崩す事は出来ず。

「どうせこの子は、人間の世界でも生きづらいだろうさ。」

「ならここに居るのが一番いいのかもしれないな・・・」と、奏の肩を叩き去っていく。

奏は、腕の中にある空のぬくもりを大切そうに守り、暖かな光は、やさしく奏と空を包み込んでいた・・・・。


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余談:数年後下克上がおこり「心配するな俺がじじーになっても、お前の事は抱けるさ。」と、言う空がいたりします。
    機会があれば、その後の二人をかきたいなぁ〜。

2005/5/19up

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